山梨県南アルプス市
御勅使川は、甲府盆地西側の巨摩産地に源を発し、侵食力の極めて大きな河川です。この御勅使川の氾濫によって、白根町(現南アルプス市)駒場を扇頂として、東西7.5km、南北10kmにも及ぶ日本屈指の大扇状地である御勅使川扇状地が形成されました。この御勅使川は平素は僅かの水流をとどめているにすぎませんが、降雨の際は大洪水の出る川で古くは平安時代、時の天皇淳和天皇が勅使を下向せしめ安全を祈願したという伝説も残っています。 この御勅使川の台水工事に着手したのが、甲斐の国主武田信玄でした。信玄公は白根町の有野に石積出しを築いて御勅使川の流路を北にまわし、ここから下方ほぼ3500mの地点に将棋頭を設けて洪水時に水を分水する策をとりました。石積出しは現在1番から5番まで確認されていますが、8番堤まであったことが確認されています。各堤にはそれぞれ2本程度の出しが設けられており、水の勢いを徐々に緩和させ、分水している様子がうかがえます。また、1番堤に最も大きな石を使用しており、激流に耐えられるようになっています。 (看板資料より)